短鎖脂肪酸とは?その働きと健康効果〜心身を軽やかに保つためのヒントを整理して解説〜

食の周辺

巷に溢れる健康情報に、迷ってしまうことがありませんか?
私もうろうろと迷っていた時に、健康的な生活について全般的に学ぶ機会がありました。
そこで学んだ中から、これは自分の生活に生かしていきたいな、と思った事柄を少しずつまとめています。
この記事を読まれたどなたかのお役に立てば嬉しいです。

最近、CMなどでもその言葉を耳にすることが増えた「短鎖脂肪酸」。
腸活や健康維持に関係がありそうですが、いったいどういうものなのでしょうか?

この記事では、そんな短鎖脂肪酸について整理してみました。

短鎖脂肪酸とは?

短鎖脂肪酸の「脂肪酸」とは油脂を構成する成分のひとつで、炭素が鎖のように繋がった構造をしています。
この繋がっている炭素が6個以下のものを、短鎖脂肪酸と呼びます。
近年、短鎖脂肪酸にさまざまな健康効果があることがわかり、注目されるようになりました。

短鎖脂肪酸の生成方法

短鎖脂肪酸は、消化されにくい食物繊維やオリゴ糖を腸内細菌が発酵(分解)することにより生成されます。

ヒトのカラダでは、腸内細菌が多い大腸で生成され、生成された短鎖脂肪酸の大部分は大腸から体内に吸収されます。

短鎖脂肪酸の種類

◼️ 腸でつくられる主な短鎖脂肪酸:酢酸、プロピオン酸、酪酸
◼️ 短鎖脂肪酸をつくる代表的な菌:ビフィズス菌、酪酸菌

酢酸はお酢にも含まれていますが、お酢は大腸に届く前に胃や小腸で吸収されてしまいます。
それに対して、ビフィズス菌は大腸で酢酸を生成するため、大腸での働きを期待するならビフィズス菌の活躍が重要になります。

また、酪酸を生成できるのは酪酸菌だけで、他の善玉菌(ビフィズス菌や乳酸菌など)には作ることができないと言われています(ただし、乳酸菌が酪酸機の増殖を促すという報告があります)。

短鎖脂肪酸の働きと健康効果

短鎖脂肪酸の働き
  1. 酢酸
    酢酸は、体内に異物(ウィルスや細菌など)が入ってきた時に活躍する免疫グロブリン(抗体機能をもつタンパク質)のひとつ、IgAの働きを助け、体内へ病原体が侵入するのを防ぎます。
  2. プロピオン酸
    マウスの研究では、プロピオン酸の投与によりアレルギー性気道炎症の抑制が確認されており、アレルギー性疾患との関係が注目されています。
    また、血中コレステロールの調整や、多発性硬化症などの自己免疫疾患との関係性も考えられています。
  3. 酪酸
    大腸の表面にある上皮細胞は新陳代謝を繰り返し、古い粘膜細胞が新しい粘膜細胞へと入れ替わっています。
    その新陳代謝のためのエネルギーとなるのが酪酸です。
    また、免疫の過剰反応を抑え、免疫機能のバランスを調整する働きも、酪酸が担っているのではないかと考えられています。

酪酸菌だけが生成できる酪酸
酪酸の最大の特徴は、大腸のエネルギー源であるということ。
そんな酪酸について詳しく知りたい方は、こちら↓の記事をどうぞ

短鎖脂肪酸の健康効果
  1. 腸内環境への作用
    ・腸内をpHを低下させ、弱酸性の環境を作ることで悪玉菌の増殖を防ぐ
    ・大腸の粘膜を刺激して、ぜん動運動を促進し、便秘を解消する
    ・腸粘膜のエネルギー源となり、腸粘膜のバリア機能を維持する
  2. 免疫機能への影響
    ・腸粘膜のエネルギー源として細胞増殖にも利用され、バリア機能を強化する
    ・免疫細胞の働きを抑制して炎症を抑えることで、アレルギー症状を改善する
  3. 健康への影響
    水やミネラル吸収のためのエネルギー源となる
    ・エネルギー代謝に影響を与え、生活習慣病(肥満や糖尿病)を予防する

短鎖脂肪酸を増やすには

短鎖脂肪酸は乳製品やお酢などにも含まれますが、食べ物から摂取した短鎖脂肪酸は大腸に届く前に胃や小腸で吸収されてしまいます。
また、酪酸菌は酸素に弱いため食べ物に含まれることはほとんどありません。
そこで、大腸において短鎖脂肪酸を生成するビフィズス菌・酪酸菌や、酪酸菌の増殖を促す乳酸菌などの善玉菌を増やすことが大切になります。

善玉菌を増やすには、次のような方法があります。

  1. 水溶性食物繊維やオリゴ糖の摂取
    水溶性食物繊維やオリゴ糖は善玉菌のエサとなり、善玉菌の増殖を助けます。
    水溶性食物繊維の豊富な食品には、野菜、果物、海藻類、穀類などがあります。
    また、オリゴ糖はバナナ、はちみつ、玉ねぎ、大豆などに豊富に含まれていますし、甘味料をお砂糖代わりに使う方法もあります。
  2. ビフィズス菌入りヨーグルト
    ヨーグルトは乳酸菌の発酵によって作られています。
    従って、乳酸菌の入っていないヨーグルトはありませんが、全てのヨーグルトにビフィズス菌が入っているわけではありません。
    そして、大腸で活躍するのは乳酸菌よりビフィズス菌です。
    大腸の善玉菌を増やすには、ビフィズス菌の含まれたヨーグルトを選択するのも一案です。
  3. ビタミンB群やビタミンDの摂取
    ビタミンB群やビタミンDは、善玉菌が食物繊維を分解したり、善玉菌の数や種類を増やすために必要です。
    これらのビタミンをとることは、善玉菌をサポートすることにつながります。

まとめ

いかがだったでしょうか。
今回は最近耳にすることが増えた短鎖脂肪酸についてまとめてみました。

大腸で活躍する短鎖脂肪酸は、健康を維持するための重要な鍵になりそうです。
そんな短鎖脂肪酸は、口から取り入れても大腸まで届きにくいもの。
短鎖脂肪酸を善玉菌の活躍で増やし、
カラダと心を軽やかにしていきましょう。

腸の健康はカラダ全体の健康につながります。
そんな腸活について詳しく知りたい方は、こちら↓の記事をどうぞ

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