《絵本》『虹の橋―Rainbow Bridge』葉 祥明

読書

『虹の橋―Rainbow Bridge』は、
作者不詳の散文詩として世界中の動物を愛する人々に読まれてきた物語に、
葉祥明さんのあたたかい絵と訳が添えられた、美しい一冊です。

基本情報
・タイトル :虹の橋―Rainbow Bridge
・作者/訳者:葉 祥明 (絵・訳)
・発行日  :2007年6月30日
・ページ数 :32p
・出版社  :佼成出版社

虹の橋のたもと ──
天国にはいってすぐのその場所は、
草原や丘がどこまでもひろがり、
旅立った動物たちがやすらかに過ごしているといわれます。

 
 動物たちは、そこで 満たされ、幸せに くらしています。
  たったひとつ、あることを のぞいては ── 。

私がこの物語をはじめて知ったのは、
私のあの子がまだまだ若く、元気いっぱいの頃でした。

そこに綴られた別れと再会の物語に、
素直に心があたたかくなりました。

愛しいペットを亡くして落ち込んでいた知人に、
深く考えずにすすめたことさえあります。

けれど、
自分がその立場になったいま読み返してみると、
胸の奥に複雑な感情が湧き上がりました。
あの子はいま、
虹の橋のたもとで、
私を探しているのではないか ……

この絵本を読む少し前、こんな言葉を目にしました。

「あなたの涙は、あの子の上に雨になって降り注ぐ」

その瞬間、
水が嫌いだったあの子がずぶ濡れになっている情景が浮かび、
あぁ、あんまり泣いてばかりいてはだめだ、と思いました。

けれどその後に、こんな言葉にも出会いました。

「あなたの涙は、あの子の上に花びらとなって降り注ぐ」

相反する二つの言葉を知ったとき、ふっと気づきました。
まだ涙はこぼれるけれど、
それをどんなものにするのかは、自分で選べるのだ── と。

雨のように冷たい涙。
花びらのようにあたたかな涙。

私はあの子の上に、どんな涙を降らせたいだろう。

あの子から私は、感謝してもしきれないほど多くのものをもらいました。
年を重ねて弱っていったあの子が、
いまはあの瞳をキラキラさせながら、
緑の草原を元気に駆けまわっている ──。
そんなあの子には、
私の感謝を花びらにして届けたいと思いました。

葉祥明さんのやさしい絵は、
旅立ったあの子のいる場所が、
平和とやすらぎに満ちた癒しの場所であることを、
そっと教えてくれます。

いつかまたきっと逢えるから、
しばらくのあいだ待っていてね。
元気を取り戻したそのからだで、
風のようにおもいきり駆けまわりながら ──。

人間は忘れる生き物。
 どんな感動もどんな興奮も時が経てば記憶の底に沈みゆき、その片鱗さえも見失いがちです。
 それは読書も同じこと。
 読んだ直度の高揚が、数日後にはすっかり雲散霧消 などということも。
 ですが、読みながら機微に触れた内容を記録しておけば、大切なエッセンスだけは自分の中に残る── はず。

他の書録・書評はこちらからお読みいただけます。

タイトルとURLをコピーしました