ヨガをめぐるこぼれ話 ─ こんなところで脳とつながる ─

ヨガ余聞

今日はムーンデイ、新月です。

ヒトも自然の一部。
月の満ち欠け、潮の満ち引き、
日が昇り日が沈み、季節が確実に巡りゆく …
その大いなる循環の中で生かされています。

そんなムーンデイに、「脳とのつながり」について思いを巡らせてみました。

……──…──…──…──…── 🌒 ──…──…──…──…──……

突然ですが、あなたは舌先をストローのように、筒状に丸めることができますか?
こんなふうに。

私はできません。
いえ、
できませんでした。
…… 数日前までは。

そもそも、舌先をそんなふうに丸めるなんてこと、ヨガをするまでは知りませんでしたし(ヨガの呼吸法の一種であるシータリー呼吸法は、この舌先で行います)
もし知っていたとしても「へぇ、変な特技があるんだねぇ」くらいの話で終わっていたと思います。

ところが、ヨガのレッスンの中で知ったものだから、
周りの人がひょいっとやっている舌先丸めを「私はできない」ということが、
抜けない棘のように私の中に小さなコンプレックスを残したのでした(もう本当に人間というものは、こんな些細なことからでもコンプレックスを生み出すものなのです)

まぁ、その後のレッスンで
「これ(その時はアーサナでしたが)ができたかといって幸せになれるわけではありませんからね」
という言葉を聞き、
「そうだよ、舌先が丸められたからといって別にしあわせになれるわけじゃないんだし」
と、「すっぱい葡萄理論」でたわいないコンプレックスをやり過ごしてきたわけですが ……
先日、久しぶりにシータリー呼吸法を行う機会があったのです。

で、やはりその時もできませんでした。
数年ぶりに、忘れていた小さなコンプレックスが再発。

「やっぱり私にはできないかぁ」
「でも、なんだかくやしいなぁ」

と、その後数日、鏡を見ながら舌を出したり引いたり繰り返していると ……

「おっ!」

ある時一瞬、かすかに丸まったのです。

「なんだ、今のは!」

面白くなり、夢中になって舌をあっちへやったりこっちへやったり。
そしてついに!
数年越しの舌先丸めができたのです!!

いやぁ、何と申しましょうか、
大の大人が鏡を見ながら真剣な表情で己が舌と悪戦苦闘 ──
なんて、はたから見れば
何やってるの?
という感じですが、この小さな棘は、思いのほか深くまで刺さっていたようで……
とにかく、
一度できたら、できなかった時が嘘のようにどんどん上達していき、
今では立派なストローが作れます!

── と、そんなことを自慢したかったわけではなく言いつつ、ちょっと自慢? いやいやいや、そんなことはホントになんの自慢にもなりませんって)、なぜ今にしてできるようになったのか。

それがどうやら、脳と関係があるようなのです。

舌は神経が密集している器官で、舌はさまざまな神経(顔面神経、三叉神経など)に支配されています。
そして、舌の運動に関しては「舌下神経」が支配しているそうです。

その舌下神経は、脳幹から出ています。
脳幹は、呼吸・心拍・血圧など、生命維持に欠かせない体の働きを調整したり、体の軸を安定させたりする、脳の中でもとりわけ重要な部分です。
加えて脳幹は、脳の中で一番最初に形成される部分でもあり、生命の進化において最初にできた脳とされます。
そしてそんな脳幹ですが、ヨガのアーサナを練習することで活性化できるのです。

私は幼少期の病気が原因で、自分の体をあまり感じられることなく大人になり、ずっと自分の体がしっくりこない違和感を抱いていました。
それがヨガに出会い、アーサナをすることで、少しずつ、自分と体がなじんできた、と感じられるようになりました。
それは同時に、脳幹を鍛えることでもあったようです。
鍛えられた脳幹がここにきてようやく、舌に対しても的確な命令を出してくれたのかもしれません。

数年越しの舌先丸め。
なんだか笑い話のような出来事ですが、その出来事がまた一つ、体と脳のつながりを感じさせてくれました。
それでもまだまだ、つながりがあまい部分はあっちにもこっちにも。

次はどこがつながるのか、体の感覚に向き合いながら、練習を続けます。

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