昨日はムーンデイ、満月でした。
ヒトも自然の一部です。
月の満ち欠け、潮の満ち引き、
日が昇り日が沈み、季節が確実に巡りゆく …
その大いなる循環の中で生かされています。
そんなムーンデイの後に、筋肉について思いを巡らせてみました。
「カラダはこころの表現体」という言葉があります。
目に見えないこころの状態はなかなか分からなくても、カラダはさまざまな方法でこころを表現しています。
気分が落ち込むと自然と背中が丸くなります。
緊張すればカラダはかたくなります。
ストレスがたまればどこかに痛みが出るかもしれません。
こころが不調だと目の中の光は消え、
生き生きとしたこころは瞳を輝かせます。
そんなカラダの一部である筋肉。
そこにもこころが表れていることを、私が学んでいるヨガ哲学の先生が教えてくださいました。
筋肉には、アウターマッスルとインナーマッスルがあります。
アウターマッスルはカラダの表面近くにある筋肉、
インナーマッスルはカラダの深層部にある筋肉です。
アウターマッスルはカラダの表面にあるので、目で確認することができます。
もこっと盛り上がった力こぶの上腕二頭筋や、かっこよく割れた腹筋を作る腹直筋などがそれです。
対するインナーマッスルはカラダの深層部にあるので、目で見ることができません。
上半身と下半身をつなぐ腸腰筋や、背骨沿いに付着している小さな多裂筋、内臓を支える骨盤底筋群などです。
深部にあるので手で触れることも難しく、なかなか意識しにくいかもしれません。
そんなアウターマッスルとインナーマッスルが、一体なにを表しているのか。
それは、「エゴ」と「アートマン」なのだそうです。
エゴは、「私」という意識です。
表に現れ、自分を主張し、活動的で、二元的価値観を作り出し、
「私」を世界にアピールします。
エゴは日中活動し、夜になると眠ります。
眠りが心身を回復させるのは、寝ている間はエゴの束縛から解放されているからかもしれません。
それに対して、アートマンは魂の存在です。
「私」という意識のない、人間存在の根源。
私を今ここに存在させているものの本質です。
アートマンには時間の概念はなく、
いついかなる時も静かに在り、観察しています。
カラダの表面でアピールしているアウターマッスルが「エゴ」を、
カラダの深部で静かに身体機能を支え続けているインターマッスルが「アートマン」を表している。
たしかに、と思いました。
さてそこで、ヨガが意識する筋肉はどちらでしょうか。
もちろん、インナーマッスルです。
カラダの深部で働き続け、姿勢を保持し、内臓を支え、カラダを安定させてくれる筋肉。
そんなインナーマッスルを活性化するのがアーサナです。
インナーマッスルは、緊張状態では活性化されません。
緊張すると、すぐにアウターマッスルが主張してきます。
でもちょっと待って!
インナーマッスルは、緊張ではなく、リラックスしたときに働くものです。
リラックスして持続的に動いた時に鍛えられる筋肉。
だからヨガでは、力を入れる(緊張する)のではなく、力を込める(集中する)ことが大切なのです。
集中して、リラックスして、ゆっくりと時間をかける。
頑張って力む必要も、スマートに素早く動く必要もありません。
かくいう私も、アシュタンガヨガに出会ってしばらくの間、筋肉がついていくのが嬉しかったものです。
体幹が鍛えられるのはもちろん、うっすらと割れてきた気がする腹筋にニヤニヤしたりなんかして。
でも、このお話を聞いてどきっとしました。
その時の私は意図せずに、エゴをどんどん肥大化させていたのでした。
アーサナの練習を続けていて、アウターマッスルばかりが鍛えられているとしたら、
緊張しているのかもしれません。
呼吸が浅くなっているのかもしれません。
瞬発的な動きをしているのかもしれません。
そして、
エゴに囚われているのかもしれません。
そうならないように。
自分のカラダの感覚に意識を向けて、練習を続けます。