今日はムーンデイ、新月です。
アシュタンガヨガでは、ムーンデイには練習を行いません。
いつもは練習している時間に、コスパ主義とヨガについて思いを巡らせてみました。
先日、ヨガ哲学を学んでいる中で、
コスパ主義についての話になりました。
現代社会は、何事においてもコスパ主義が幅を利かせています。
効率を重視し、
手っ取り早く、
何かを得よう得ようという傾向があります。
最近では、コスパ(コストパフォーマンス)だけにとどまらず、
タイパ(タイムパフォーマンス)やスペパ(スペースパフォーマンス)という言葉まできかれます。
ですが、それが落とし穴です。
ヨガの生徒さんを募集する中で、
「簡単にポーズが取れるようになります」
といった宣伝文句を目にすることがあります。
でも、
簡単にポーズが取れるようになることがアーサナの目的ではありません。
今に向き合うことがアーサナの目的です。
ヨガは、コスパ主義とは対極にあるので、
コスパ主義に基づいて宣伝をしては、
本来のヨガとはズレてしまうなぁと感じます。
そして、
そういう思考は一事が万事、全てにつながっています。
「日常生活はコスパ主義です。でも、アーサナ中は今と向き合っています」
なんてことは、おそらくないのです。
些細なことでも、自分の中にコスパ主義があったら要注意。
それは、ヨガにも及んでいるかもしれません。
ゲームを攻略するように効率的にアーサナを攻略したとして、
その先に、何があるのでしょう?
カラダが変化する楽しさを感じたり、
向上心を持つことは大切です。
アーサナの練習も楽しいに越したことはありませんし、
できなかったポーズができるようになったり、
カラダが変化したりするのは、
実際に楽しいものです。
私も、アーサナの習得ばかりに気を取られていた時期がありました。
今でもやっぱり、気になる時はあります。
でも、
アーサナの習得やカラダの変化は、
結果的にそうなるのであって、
得ようとして取りにいくものではありません。
ある程度表面的な体験を堪能したら、
それを超えたところに目を向けてみてはどうでしょうか。
ポーズができるできないじゃない、カラダの変化云々じゃない、高み。
そこに、本当のヨガがあります。
コスパ主義になると、大切な理を見失ってしまいます。
ずっとコスパ主義のヨガを続けていたら、辛くなるかもしれません。
「もうやってられない」と思うかもしれません。
それでやめてしまったら、ヨガとのご縁はそこまでです。
私たちは、コスパで人生を生きているのでしょうか。
もっと得て、さらにもっと得て、もっともっと得て…
その先は?
その不毛さにちょっとでも違和感を感じたら、
まずはヨガの時間から、
コスパ主義を手放す練習をしてみるのも一案です。
私も毎日、その繰り返し。
少しずつ、今に向き合えるように。