4つの幸せホルモン(幸福物質)を増やす食べ物と習慣 〜心身を軽やかに保つためのヒントを解説しています〜

食の周辺

巷に溢れる健康情報に、迷ってしまうことがありませんか?
私もうろうろと迷っていた時に、健康的な生活について全般的に学ぶ機会がありました。
そこで学んだ中から、これは自分の生活に生かしていきたいな、と思った事柄を少しずつまとめています。
この記事を読まれたどなたかのお役に立てば嬉しいです。

人が幸せな感情を抱くには、体内で働く複数の物質が関与しています。

そんな幸せな感情を作る物質について、この記事ではその機能や増やし方(食べ物とおすすめの習慣)などについてまとめてみました。

気になる項目がある方は、目次でジャンプしてください。

幸せホルモンとは?

いきなりですが、幸せホルモンという物質は、実はありません。

幸せな感情を作る物質のことを、俗に「幸せホルモン」「脳内ホルモン」などと言いますが、
本当はホルモンではなく神経伝達物質のことを指します。

ここで、一般的なホルモンと神経伝達物質の違いを簡単に示しておくと、

  • ホルモン血中に分泌され、時間をかけて全身の組織や器官に作用する化学物質
  • 神経伝達物質脳内で分泌され、隣接する神経細胞に素早く情報を伝える微量の化学物質

となります。

ホルモンと神経伝達物質は全くの別物。
そして、
幸せな感情を作る物質とは、
脳内で機能している神経伝達物質のことなのです
(幸せホルモン、脳内ホルモンという言葉は造語であり、実際には存在しません)。

ですので、以下では「幸せホルモン」ではなく「幸福物質」と表現します。

主な幸福物質

ではここから、幸福物質についてみていきます。

主な幸福物質には、
 1. セロトニン
 2. ドーパミン
 3. オキシトシン
 4. エンドルフィン
の4つがあります。

3大幸福物質として、セロトニン、ドーパミン、オキシトシンが有名ですが、
今回は4つ目のエンドルフィンについても解説します。

それぞれの幸福物質を詳しくみる前に、大まかなポイントを一覧で示しておきます。

  どんな幸福感? 特徴
(どんな物質?)
食べ物 おすすめ習慣
1.セロトニン 気分がいい 心の安定、
幸福感、
安心感に関係がある
最も基盤の幸福
トリプトファン
・バナナ
・赤身肉
・レバー など
リズム運動
日光浴
十分な睡眠
ストレス管理 など
2.ドーパミン 快感 快楽、報酬、
動機づけに
関係がある
チロシン
・チーズ
・大豆製品
・果物 など
有酸素運動
日光浴
音楽
目標を立てる など
3.オキシトシン つながり 親密さ、信頼感、
社会的絆の形成に
関わる
なし スキンシップ
コミュニケーション
笑う
マッサージ など
4.エンドルフィン 「ハイ!」
  な感じ
体内で生成される、
自然の鎮痛物質
辛味
・唐辛子など
カカオの香り
有酸素運動
スキンシップ
笑う
マッサージ など

1. セロトニン

それでは、各物質の説明です。
まず1つ目は、セロトニン

セロトニンとは

セロトニンは、心の安定、幸福感、安心感に関係がある物質です。

セロトニン的幸福は気分がいい

心とカラダの健康につながる最も基盤の幸福です。

セロトニンレベルが上がると、
気分が改善し、不安が減少し、全体的な幸福感を向上させることができます。
また、睡眠、食欲、消化、学習、記憶にも影響を与えます。

■生成メカニズム

トリプトファンという必須アミノ酸から生成されます。
(食)トリプトファン →(体内)5-ヒドロキストリプトファン(5-HTP)に変換 → セロトニンに変化

増やす方法

■食べ物

セロトニンは脳内で作られますが、その原料として必須アミノ酸のトリプトファンが必要です。
ところが、トリプトファンは体内では生成できないため、食べ物から摂る必要があります。
また、トリプトファンからセロトニンを作る過程で、ビタミンB6も必要です。

【トリプトファンを豊富に含む食べ物】
 バナナ、赤身魚、赤身肉、レバー、鶏肉、卵、チーズ、ナッツ、大豆製品など

バナナには、セロトニンの生成に必要な栄養素が全て含まれています。
また、赤身肉レバーには、ビタミンB6も豊富に含まれています。
ただし、ビタミンB6は熱に弱いため、長時間加熱すると減少してしまいます。
そして、極端な炭水化物制限も要注意です。
インスリンが分泌されず、トリプトファンが脳内に到達できないので気をつけましょう。

■おすすめ習慣

続いて、セロトニンを増やすために日常生活で取り入れたい習慣をあげてみます。

  • リズム運動:ウォーキングやジョギング、ガムを噛む、意識的な呼吸など、一定のリズムを刻む
  • 日光浴:日中の日光浴、特に朝の太陽の光に当たる(起床後30分以内が望ましい)
  • 十分な睡眠:できれば一晩に7〜9時間の睡眠をとる
  • ストレスの管理:ヨガや瞑想、リラクゼーションなどで不安やストレスを軽減する
  • サプリメントの利用:トリプトファンや 5-HTPの含まれるサプリメントを利用する

2. ドーパミン

続いて、2つ目の幸福物質はドーパミンです。

ドーパミンとは

ドーパミンは、快楽、報酬、動機づけに関係がある物質です。

ドーパミン的幸福は快感

脳を興奮させ、高揚感や達成感が伴います。
また、新しいことを学ぶ意欲や情熱を感じる際にも重要です。

■生成メカニズム

チロシンというアミノ酸から生成されます。
(食)チロシン →(体内)L-DOPAに変換 → ドーパミンに変化

増やす方法

■食べ物

ドーパミンも脳内で作られますが、アミノ酸のチロシンから酵素の働きによって合成されます。

【チロシンを豊富に含む食べ物】
 チーズ(特にパルメザンチーズ)、大豆製品、果物(アボカド、バナナ、りんご)、ナッツ、水煮たけのこの白い粉など

チロシンは、糖質と一緒に摂ると吸収がよくなるので、果糖の含まれる果物から摂取するのもおすすめです。

■おすすめ習慣

以下が、ドーパミンを増やすために日常生活で取り入れたい習慣です。

  • 有酸素運動:ウォーキング、ジョギング、サイクリングなどの有酸素運動を行う
  • 日光浴:日光を浴びることでドーパミン受容体の活性を高くする
  • 十分な睡眠:十分な睡眠でドーパミン受容体の利用率をあげる
  • ストレスの管理:ヨガや瞑想、リラクゼーションなどで不安やストレスを軽減する
  • 音楽:好きな音楽を聞くことで脳を刺激する
  • 小さな目標を立てる:十分に小さな目標を立て、その実現に向かって行動する(ドーパミンは目標を達成した時だけではなく、目標を立てて実行している時にも分泌される)

3. オキシトシン

3つ目は、オキシトシン

オキシトシンとは

オキシトシンは、親密さ、信頼感、社会的絆の形成に関わります。

オキシトシン的幸福はつながり

他者との交流や関係によって生まれる幸せすべてです。

オキシトシンレベルが上がると、
人間関係の改善やストレスの軽減で、全体的な幸福感を向上させることができます。

■生成メカニズム

脳の下垂体後葉から分泌されます。
親密なタッチや抱擁、ポジティブな社会的相互作用によって放出が促されます。

増やす方法

■食べ物

オキシトシンは、スキンシップや感謝する気持ちなどによって生成されるため、
「これを食べれば増える」という食べ物はありません

ですが、親しい人と楽しく食事をとれば、その行動自体がオキシトシンの分泌を促進させます。

■おすすめ習慣

オキシトシンは、食べ物で生成することができないため、普段の生活が大きく関わってきます。
そんなオキシトシンを増やすために取り入れたい習慣です。

  • スキンシップ:家族やペット、親しい人と身体的接触をもつ
  • コミュニケーション:親しい人との交流を楽しんだり、感謝を表現する(ビデオ通話など、オンラインの交流でもOK
  • 笑う:コメディ映画をみたり、友人と楽しい時間を過ごして笑う機会を増やす
  • マッサージ:受けるのはもちろん、誰かにしてあげたり、セルフマッサージでもOK
  • ヨガや瞑想など:心身がリラックスする方法を活用する

4. エンドルフィン

最後は、エンドルフィンです。

エンドルフィンとは

エンドルフィンは、体内で生成される自然の鎮痛物質です。

エンドルフィン的幸福は「ハイ!」な感じ」

高揚感や陶酔感につながります。

■生成メカニズム

中枢神経系と末梢神経系において、ストレスや痛みを感じた際に自然に生成されます。

増やす方法

■食べ物

脳は、知覚した痛み(=辛味)を抑えようとしてエンドルフィンを分泌させます。
そのため、唐辛子などの辛味のある香辛料は、エンドルフィンの分泌を促進させます。
また、カカオに含まれる香り成分がエンドルフィンの放出を促すことが示されています。

辛い料理やダークチョコレートなど、適量を楽しむことで心地よい効果を得られます。

■おすすめ習慣

最後に、エンドルフィンを増やすために取り入れたい習慣です。

  • 有酸素運動:ウォーキング、ジョギング、サイクリングなどの有酸素運動を行う
  • スキンシップ:家族やペット、親しい人と身体的接触をもつ
  • 笑う:笑うことで、直接的にエンドルフィンの分泌させる
  • マッサージ:マッサージを受けることで、「痛気持ちいい」と感じる
  • ヨガや瞑想など:心身がリラックスする方法を活用する
  • 音楽:楽しいと感じる音楽を聴いたり、歌ったりする

まとめ

いかがだったでしょうか。

今回は4大幸福物質についてみてきました。

4つの神経伝達物質は、人が幸せな感情を抱き、心身の健康や社会的な結びつきを形成する上で、重要な役割を担っています。
また、これらの物質はどれか一つが多ければいいというわけではなく、相互に影響を及ぼしあって機能しています。

まずは簡単な習慣から日常に取り入れて、幸福物質を効果的に機能させ、カラダと心を軽やかにしていきましょう。

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