《映画レビュー》『ゴジラ-1.0(2023)』 それでも生きていく

映画

第96回米アカデミー賞 視覚効果賞受賞。
行きつけの映画館で凱旋上映をしていたので、
ミーハーよろしく、予備知識なしで映画館へと足を運びました。
 ( 結末を暗示する内容が含まれています。これから鑑賞される方は、ご注意ください。)

作品情報
製作年:2023年
製作国:日本
劇場公開日:2023年11月3日
上映時間:125分
監督・脚本:山﨑貴

あらすじ
太平洋戦争末期の日本。
特攻隊員・敷島は、航空機の不備を理由に整備基地のある島に不時着します。
その夜、島に突然現れた謎の巨大生物。
島人がゴジラと呼ぶ生き物です。
ゴジラが傍若無人に暴れ回る中、意識を失う敷島。
翌朝目覚めると、整備隊は壊滅状態、
ゴジラの姿はありませんでした。
そして戦後。
復興を目指す日本に、ゴジラが再び現れます。
活気を取り戻しつつある街が一瞬で破壊される恐怖。
その恐怖に、戦争を生きのびた人々はどう立ち向かうのか。

主 演
敷島浩一(神木隆之介)
特攻隊員の敷島。
母の「生きて帰れ」という言葉を胸に、
特攻を回避し、
整備隊の犠牲に苦しみながらも、
なんとか実家にたどり着きます。
ところがそこは焦土と化し、

敷島に言葉を残した両親も、すでにいませんでした。
ここぞ、というところで尻込みしてしまう敷島。

自分の戦争を引きずり、
最愛の人に想いを伝えることもできぬまま、
ゴジラとの対決を迎えます。
演じるのは神木隆之介さん。
初主演映画「妖怪大戦争」(05)で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞され、

その後も映画、TVドラマなどに多数出演。
声優としても活躍されています。

それでも生きていく

敷島は、ずっと戦争を引きずっています。

特攻を回避した自分。
整備隊を助けなかった自分。
ゴジラを前に何もできない自分…。

後悔と罪悪感に苛まれ、
眠れない夜が続きます。

そんな敷島に寄り添う女性や仲間は、
敷島に「生きろ」と言います。
戦争を生きのびた者は、生き続けなければならないのだ、と。


  無理だろうとなんだろうと、やるしかないんだ!
   (おそらく、こんなセリフがあったと思うのですが•••うろ覚えです。)

ゴジラのような圧倒的な力が無尽蔵に襲いかかってきた時、
どういう行動を取るのか。

それはもう、
戦うか逃げるかしかありません。
逃げる時間がなかったら?
戦うだけです。

それとも、みすみすやられるか。

敷島は、
逃げるか、
みるみるやられそうになりながらも生き延びて、
戦後を生きています。

生きてはいますが、幸せではありません。
それは、主体的に生きられないから。
自分が逃げて置き去りにしたものに縛られ、
前に進むことができないからです。

しかし、
愛するものを奪われ、
前に進めない、
などとは言っていられない状況が訪れます。

そして、
「やるしかない」
そう腹をくくった時、
敷島の生かされなかった能力が、全開になります。

ゴジラ映画をちゃんと見たのは、人生初です。
子どもの頃から、
ゴジラの印象的なフォルムとテーマ曲を時々見聞きすることがあったので、
なんとなく知っているつもりになっていましたが、
こんな作品だったのですね。

アカデミー賞を受賞していなかったら見ることのなかった作品。
知っているつもり、で終わらなくてよかったです。

ゴジラの目的不明さに対する違和感も、見ているうちに薄れていきました。
(そもそも、怪獣に目的なんてあるのか?
  ゴジラファンには暗黙の了解?  
  ゴジラのほぼ動かない胴体。

  あの体でどうやって泳ぐんだいっ!
  という疑問も無粋なんでしょうね…)。

まぁ、ちょっとした違和感は置いておくとして、
とにかく、登場人物がみんな熱い!
そして、悪い人がいない。

迫り来る恐怖に対して一丸となって立ち向かう、
という上向のエネルギーに、
意図せず心をとらえられました。

最後の最後、終わり方がやや不穏…
毎回そうなのか、今回だけなのかはわかりませんが、
海に沈んだゴジラの鼓動がドクン
重なるテーマ曲、
ダダダンダダダン、ダダダダダダダダダン
に、ぞわっとしました。

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