人間は忘れる生き物。
どんな感動もどんな興奮も時が経てば記憶の底に沈みゆき、その片鱗さえも見失いがちです。
それは読書も同じこと。
読んだ直度の高揚が、数日後にはすっかり雲散霧消…… などということも。
ですが、読みながら機微に触れた内容を整理しておけば、大切なエッセンスだけは自分の中に残る── はず。

『フィット・フォー・ライフ』は、アメリカ健康科学カレッジにおいて最高学位を取得したハーヴィー・ダイアモンドと、ファイベータカッパ会員であるマリリン・ダイアモンドによって書かれた健康栄養学の本です。
原著の初版は1985年。
『ニューヨーク・タイムズ』紙のベストセラー・リストで40週連続1位の快挙を達成し、『風と共に去りぬ』『聖書』などとともに、『パブリッシャー・ウィークリー』誌が「世界の名著・ベスト25」に選出した不朽の書。
健康長寿には「不滅の原則」があった!
とは表紙に書かれた言葉ですが、現在一般的とされる食生活に洗脳された私たちには、なかなかに衝撃的な原則です。
タンパク質の過剰摂取、牛乳神話の裏側、にわかには信じ難い内容も、信じ込まされてきた考え方をいったん脇に置いて本書を読めば、至極当然な自然の法則を見失っていたことに気づかされます。
登場しては消えていくダイエット本や健康関連本とは違い、本書がロングセラーとなっているのは「人間の生き方」の原則を書き記したものだからです。
健康で活力に満ちたライフスタイルを体験したい方、自然の法則に従い、生命と調和し、地球との共生を実行していくライフスタイルに興味のある方には一読をおすすめします。
基本情報
・タイトル :フィット・フォー・ライフ
・著者/編者:ハーヴィー・ダイアモンド、マリリン・ダイアモンド(著)、松田 麻美子(訳・補遺)
・発行日 :2006年3月29日
・ページ数 :560p
・出版社 :グスコー出版
【 書録 】
■ 「フィット・フォー・ライフ」とは何か
・もっと健康になるための、生命と調和した生き方
・「食べるために生きる」ことをやめ、「生きるために食べる」ことを学ぶ
・体にとって最も役に立てられるようエネルギーを徹底的に効率化していく
■ ダイエットとは何か
・人間のあらゆる行動の中で、最も効果がなく奇妙な行為
・ダイエットは、最も重要な「健康」を犠牲にする
・ダイエットに効果がないのは、ダイエットという行為自体が間違った手段であるから
■ 「ナチュラル・ハイジーン」とは何か
・人間の体をケアし、大切に維持するための究極の健康哲学
・「体は健康を求めていつも努力しており、有害な老廃物を自ら絶えず浄化することによってそれを成し遂げようとしている」と考える (=全人類の治癒力は、すべて体の中に存在している)
■ 食べ物を処理する人間本来のサイクル
・食べ物を処理する能力には、3つのサイクルがある
◎正午〜午後8時 ── 補給(摂取と消化:食べることとその分解)
◎午後8時〜午前4時 ─ 同化(吸収と利用:体への同化
◎午前4時〜正午 ── 排泄(体内の老廃物と食物カスの排出→何も摂取しないのが理想的)
・このサイクルが妨害されると(特に排泄)、老廃物が体に溜め込まれ肥満や病気につながる
・やせるための成功の秘訣は、排泄のサイクルを妨げず、最も効率よく機能させること
■ 体から毒性の老廃物を取り除き、溜め込まないための手段3つ
1.水分を多く含む食べ物を食べる
→70%の水分を含んだ食べ物(果物と野菜)と、30%の凝縮食品(果物、野菜以外のものすべて)を取る
2.食べ物は正しく組み合わせて食べる
→一度に2つ以上の凝縮食品(果物、野菜以外の食品)を食べない
3.果物を正しく食べる
→単独で食べる、空腹時に食べる(食後のフルーツは×)
■ 食べ物を摂取する上で注意したい2つの食品グループ
1.タンパク質(現代人はタンパク質を取りすぎ)
→私たちの体のタンパク質は、タンパク質食品(肉や魚など)を摂取して作られるのではなく、食べ物に含まれるアミノ酸から作られる。タンパク質食品は消化に多量のエネルギーを必要とする割に、人体に必要なタンパク質を製造しない。人体に必要なアミノ酸は、植物中にすべて含まれている。
2.牛乳(牛乳は健康食品ではない)
→牛乳は人間のために作られたものではなく、牛の子供に授乳を行う目的のために存在する。人間は3歳を過ぎると牛乳を消化できず、体内組織の中に粘膜を作ってしまう。
■ 健康のために食べ物以外に必要なこと
・毎日最低限(できれば早朝に)、20分間の有酸素運動(元気よく歩くなど)を行う
・新鮮な空気を吸い、毎日30分ほど日光にあたる
・「私は健康だ」という信念を持ち、成功を確信するための肯定的なメッセージを細胞に送る
■ 「フィット・フォー・ライフ」実践への行動プログラム
・午前4時から正午(排泄サイクル)に何か食べる場合には、果物かフレッシュジュースだけ
→1日のうちでものを食べるのに最悪の時間帯は午前中。果物はほかのどんな食べ物よりも消化にエネルギーを必要とせず、唯一、排泄サイクルを邪魔しない。
・エネルギーを浪費しないために、肉・魚介類や乳製品は1日の最後の食事でとる
■ 地球との共生
・「フィット・フォー・ライフ」の食事法は、「ルール」ではなく一つの「ライフスタイル」
・「フィット・フォー・ライフ」のプログラムは自然の法則に基づいており、地球との共生を実行していくことになる