乳酸菌(善玉菌)と発酵食品の深いつながり 〜心身を軽やかに保つためのヒントを解説しています〜

食の周辺

巷に溢れる健康情報に、迷ってしまうことがありませんか?
私もうろうろと迷っていた時に、健康的な生活について全般的に学ぶ機会がありました。
そこで学んだ中から、これは自分の生活に生かしていきたいな、と思った事柄を少しずつまとめています。
この記事を読まれたどなたかのお役に立てば嬉しいです。

普段、何気なく口にしているヨーグルトやチーズ、味噌、納豆、キムチ、ぬか漬け、甘酒などの発酵食品。
これらの発酵食品は、乳酸菌の働きで作られているものが多くあります。
今回は、その乳酸菌と発酵食品について整理してみました。

人間と細菌の関係

乳酸菌のお話の前に、乳酸菌も含まれる細菌と人間との関係について確認しておきます。

細菌は、地球上のあらゆる環境に存在する微生物(目に見えないくらい小さな生物)の一群です。
その数は膨大で、生命の多様性と生態系の機能において重要な役割を果たしています。

細菌は人間との関わりも深く、人間を含めた大型生物は何百万もの常在菌共存しています。
生物と関わりの深い細菌の中には、人間に有益なものもあれば、病気を引き起こす有害なものもいます。

  • 有益な細菌:ビフィズス菌、乳酸菌、酪酸菌 など
  • 有害な細菌:結核菌、百日咳菌、炭疽菌、食中毒菌 など

乳酸菌とは?

乳酸菌とは、発酵(微生物の働きで有機物を変化させること)により糖類から乳酸を生成する細菌類の総称です。
人間にとって有益な菌のため、善玉菌とも呼ばれて親しまれています。

乳酸菌の生息域

乳酸菌は、栄養素が十分にあり、酸素の少ないところで生育します。
例えば、
・発酵食品
・哺乳類の腸管
・甘い果実や植物の樹液
・土壌や水
など、非常に広範囲わたって生息しています。
乳酸菌は、生息する環境に応じて多様な種類が存在し、それぞれが独自の特性を持っています。

発酵食品とは?

発酵食品とは、食材を微生物(特に乳酸菌)などの作用によって加工した(発酵させた)食品のことです。
発酵によって食材に含まれる成分が変化することにより、
・保存性が高まる
・独特の風味や香りが生み出される
・食感に変化をもたらす
などとともに、カラダに良い影響を及ぼしたりします。

食品を発酵させる微生物は多種多様ですが、
発酵食品と切っても切れない関係にある最も一般的な微生物が乳酸菌です。

発酵食品の製造過程で乳酸菌が関与するものには、次のような食品があります。
 例:ヨーグルト、チーズ、漬物、味噌、醤油、(パン、酒類)など

発酵食品に関与する乳酸菌以外の微生物

乳酸菌以外にも、発酵食品に関わっている微生物はたくさんあります。
それらの特徴と代表的な加工食品には次のようなものがあります。

微生物 特徴 代表的な加工食品
酢酸菌 アルコールを酢酸に変える 酢、ワインビネガー
納豆菌 稲わらに多く生息する 納豆
麹 菌 麹をつくるための系状菌の総称
(カビの一種)
味噌、醤油、鰹節
酵母(菌) 糖をアルコールと炭酸ガスに分解する ビール、パン、日本酒

発酵食品がカラダに及ぼす良い影響

発酵した食品は、カラダに良い影響を及ぼしてくれます。
そうした影響のいくつかをあげてみます。

  • 栄養素の吸収を促進する
    発酵過程で微生物が食材中のデンプンやタンパク質を分解するため、体内での分解作業が軽減され、吸収が容易になります。
  • 栄養素の吸収率が高まる
    発酵により、ミネラルの吸収を妨げる可能性のある成分(フィチン酸)が分解されます。
    これにより、鉄、亜鉛、カルシウムなどのミネラルの吸収率が高まり、貧血予防などにつながります。
  • 腸内環境を整える
    発酵食品はプロバイオティクス(生きて腸まで届く善玉菌)を豊富に含んでいます。
    善玉菌は、腸内の有害な細菌の成長を抑制し、消化や免疫システムをサポートします。
    また、腸内フローラのバランスを改善し、カラダの状態を整えます。
  • 免疫力を高める
    腸内環境は免疫システムと密接に関連しています。
    発酵食品の摂取で腸内環境が整えば、病原体に対する体の防御機能が強化し、免疫力が高まります。
  • 栄養成分が増加する
    発酵の過程で、微生物がビタミン類などさまざまな栄養成分を作り出します。
    また、栄養成分が体内に吸収されやすくなったり、新たな栄養成分が生成されることもあります。
  • 抗酸化作用がある
    発酵食品には、抗酸化物質であるポリフェノールなどが豊富に含まれています。
    それらが、体内の活性酸素を除去し、カラダの酸化を防いでくれます。
  • ストレスを軽減する
    「脳腸相関」や「腸は第二の脳」という言葉もあるように、脳と腸は密接に関わっています。
    脳のストレスが腸に刺激を与えたり、腸の不調が脳に不安を与えたり、お互いに影響を与え合っているのです。
    発酵食品の摂取で腸内環境が整うことは、ストレスの軽減や心理的健康の向上につながります。
    また、発酵食品には抗ストレス作用があるとされているGABA(ギャバ:アミノ酸の一種)も含まれています。

発酵食品に豊富に含まれるプロバイオティクス(生きて腸まで届く善玉菌)の活性化は腸活の基本です。
腸活について詳しく知りたい方は、こちらの記事をどうぞ

発酵と腐敗の違い

発酵と腐敗は、どちらも微生物が有機物を変化させる点は同じですが、
関与する微生物や微生物が作用した結果に大きな違いがあります。
それらの違いを一覧表で示してみます。

  発酵 腐敗
区分の仕方 微生物作用が人間に有益 微生物作用が人間に有害
関与する微生物 特定の細菌や酵母 病原性を持つ可能性のある
多様な微生物
微生物作用の結果 食品の品質向上
(保存性や風味を高める)
食品の品質低下

発酵と腐敗の境界線は曖昧で、文化や習慣、個人的価値観によっても異なります。
例えば、日本人にとって納豆は発酵食品ですが、納豆が嫌いな外国人にとっては腐敗品となります。
つまり、発酵と腐敗は微生物の種類やその作用、生成物の違いによって区別されているのではなく、人の価値観に基づいて区別されているのです。

腸内ガスの発生

お腹が張って苦しいという経験をしたことはないでしょうか。
これは、腸内でガスが発生していることによる場合があります。

腸内ガスが発生する原因のひとつに、腸内細菌による食物の発酵があります。

人間の消化管(特に大腸)において、消化されなかった食物成分が微生物の作用で分解(発酵)される際にガスが発生するのです。

適度な量のガスは正常であり、腸の健康な活動の一部と考えられます。
しかし、過剰なガスの発生は不快な症状を引き起こし、腸内環境の乱れを示している可能性があります。

腸内ガスを抑えるための対処法

腸内ガスが発生する原因は腸内細菌の作用以外にも
腸の働きの低下呑気症(どんきしょう:無意識に空気を飲み込んでしまう)
体質に合わない食べ物などいろいろあります。

腸内ガスの発生を抑えるための対処法をいくつか示しておきます。

  • 食生活の見直し
    食物繊維が多く、腸内ガスを発生させやすい食品(例:豆類、いも類、アブラナ科野菜 など)の摂取を控える。
  • プロバイオティクスの摂取
    プロバイオティクスを含む食品やサプリメントを摂取し、腸内フローラのバランスを適切にする。
    理想のバランスは、善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7(善玉菌が多すぎても不調につながる。バランスが大切)
  • 定期的な運動
    定期的な運動で腸の蠕動運動を即し、便通を改善する。
  • 医師への相談
    過剰なガスの発生が継続する場合は、医師に相談する。
    消化器内科か内科を受診し、原因を特定するための相談や検査を行う。

まとめ

いかがだったでしょうか。
今回は、普段何気なく口にしている食品と関係の深い乳酸菌と、微生物が作り出す発酵食品についてまとめてみました。

和食の定番である味噌や納豆から洋食のパンやヨーグルト、晩酌の酒類やその肴として食するチーズ、サラミ、くさやまで、私たちの食環境は発酵食品にあふれ、微生物の恩恵なしには成り立ちません。

そんな発酵食品はカラダにも嬉しい影響を与えてくれます。

微生物の恩恵である発酵食品を毎日の食事に取り入れて
カラダと心を軽やかにしていきましょう。

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