《書評》『少食を愉しむ シンプルにやせる、太らない習慣』ドミニック・ローホー/原秋子 訳

読書

ドミニック・ローホーさんのシンプルシリーズが好きで、
10年以上前に出版された最初の翻訳本『シンプルに生きる』は、
引越しや数度の断捨離もかいくぐり、
今も本棚の定位置を占めています。

そんな彼女の本ですが、
「そういえば最近読んでいないなぁ」、
と思っていた時に本屋さんで目に飛び込んできたのがこの本です。

食に特化した著書は、もしかして初めてかもしれません。
ドミニックさんが食についてどんなことを書いているのか、興味深くページをめくりました。

少食を愉しむ シンプルにやせる、太らない習慣 [ ドミニック・ローホー ]

自分で解決策を見つける

本書の「はじめに」に書かれていますが、
この本はダイエットの本ではありません。

普通のダイエットの本は、
「こうすれば痩せます」
「痩せたいならこれを食べなさい」
「こんな食べ方はやめなさい」
etc…

様々な指示を与えてくれますが、
この本はそんな指示を与えてはくれません。
安易な解答も、魔法のレシピもなしです。

では何を与えてくれるのか。

自分の問題を解決できるのは自分だけ」。

その解決策を見つけるための考え方を、
これでもか、
というくらい与えてくれます。

そこには、矛盾する内容も含まれます。
でもそれは当然。

私たち一人ひとりが別人で、
誰一人として同じ人間はおらず、
従って、
万人に共通するダイエットのルールなどというものは存在しないのですから。

普遍的なルールなど存在しないと言いたい。そして例えこの地球上の人の誰かが、私たちがいつ断食をするべきか、そしていつ食べるべきかを命じたとしても耳を貸すべきではない。どんな科学者も、この世の医者も、研究所もあなたが個人的にやるべきことをあなたに告げることは出来ないのだ。各自が耳を傾けるべき唯一の権威は自分の身体が発する声。なぜならこの大地の母はそれをデザインするのに何億年もかけてきたのだから。
                イギリスのGAPS(腸の状態が原因となる心理・精神症状)の権威
                ナターシャ・キャンベル・マクブライド博士

p235

学生時代に友人が、
「夕食に味噌汁は出てこない」
と言っているのを聞いて、驚いたことがあります。

当時の我が家では、夕食のご飯味噌汁が定番だったから。
でも、いま同じ話を聞いても、特に驚きはしません。
もう、ご飯味噌汁が世間一般の定番ではないと知っているからです。

私たちは、自分が生まれ育った環境を当たり前だと思っています。
そこから何かを変えようとする時、
外に正解を求めようとします。

それが食生活に関する場合、
書店に山と積まれたダイエット本、健康本、情報雑誌から
解答を得ようとするでしょう。

でもおそらく、
そのような本をいくら読み漁っても、
解決策は見つからないのです。

ヒントは得られたとしても、
最終的には自分のカラダと相談していくしかありません。

そして、
自分だけの独自のダイエット、
食餌療法を編み出さないことには、
いつまでたっても食べ物との戦いは終わらず、
勝ったり負けたりの繰り返し。

食べるものを前にして迷うことを続けなければなりません。

ドミニックさんの本に共通しているメッセージは
「軽やかに生きること」。

この本では、
さまざまなアドバイスを通して、
自分で自分の最適な食を見つける方法、
軽やかに生きるための方向性を教えてくれます。

最適な食を見つける過程は、
さまざまなサプライズが用意された「旅路」です。

旅には落とし穴がつきものですが、
だからといってそれが、
前に進むのをさまたげるわけではありません。

このとき大切なのは、
落胆しない、自分のリズムで進む、自己嫌悪に陥らない、
の3つ。

時々挫折することも想定内に、この旅を楽しんで進むのです。

少食を愉しむことは、
カラダの身軽さにつながり、
カラダの身軽さはメンタル面での軽やかさ、
ひいては、
軽やかに生きることにつながります。

軽やかなカラダは、どこにでも持っていける宝物

いつでもどこでも堪能できるものです。

書店に山積みのハウツー本を読んで、
解答を得ようとして、
考えるばかりはもうおしまい。

自分のカラダで感じて、
自分だけのオリジナルな食を創造していく。

その一歩を踏み出すための、よき伴奏者となってくれる本でした。

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