《書評》『新版 科学がつきとめた「運のいい人」』中野 信子

読書

図書館で著者の本を検索しているときに、
同じ著者の『人は、なぜさみしさに苦しむのか?』
と一緒に検索画面に表示され、
気になってつい借りてしまった本です。

「科学がつきとめた?」
「一体どんなふうに?」
興味津々で読み始めました。

新版 科学がつきとめた「運のいい人」[ 中野 信子 ]

しあわせのものさし

この本を読んでいて、
ときどき、
何の本を読んでいるのかわからなくなることがありました。

見出しや文中に「運のいい人は」という言葉が出てくるので、
「あぁそうそう、運についての話だった」
と思うのですが、
しばらく読んでいるとまたわからなくなります。

これは一体何なのだ、
と引っかかりながら読み進めているうちに、
本書がしあわせについての記述が多いことに気づきました。

「運のいい人は」と書いてあるのでそちらに引っ張られるのですが、
運についてというより、
「しあわせな考え方」について書かれているのです。

そして、しあわせな考え方をするためには、
自分なりの「しあわせのものさし」が必要になると、
繰り返しでてきます。

自分なりの「しあわせのものさし」で測った目的や目標がないと、せっかくのチャンスや努力が無駄になってしまうのです。また、他人の意見や一般的な価値観に影響を受けて、お金や学歴・肩書き、容姿などの「道具」の使い方を間違ってしまう。そして、それが「不運」としかいいようのない状態を招いてしまうのです。

p159

「運がいい」とはどういうことなのでしょうか。
なにをもって「運がいい」と言えるのでしょう。

それは結局、「しあわせ」と感じられるかどうかなのだと思います。

他人にいくら運がいいと言われても、
当の本人がしあわせでなければ、その人にとっては不運です。

そして、運がいい、すなわちしあわせを感じられるためには、
他人の尺度ではなく、自分の尺度で行動することが大前提。

自分のものさしで測った叶えたい夢、生きる目的、目標を確認し、
その夢や目標への道のりをあきらめずに進んでいくこと。

その先に、「運がいい」といわれる状況があり、
その状況に到達するために「しあわせな考え方」があるのです。

ランダムウォークモデルというものがあるそうです。

ごく簡単に言えば、
一時的にマイナスの出来事、あるいはプラスの出来事ばかりが続いても、
長期的にみれば必ずマイナスとプラスの出来事が入り込み、
結果的にほぼ半分ずつになる、
というモデルです。

運がいい人も悪い人も、長期的にみれば、
プラスの出来事とマイナスの出来事はほぼ同じ割合で起きています。
しかし、
運の悪い人はマイナスのときにあきらめ、
運がいい人は、マイナスの出来事が続いても簡単にあきらめません。

つまり、
運を手に入れられるかどうかは、
その人がもともともっている運のよしあしではなく、
「あきらめるか、あきらめないか」の差にすぎないのだ、
とも言えるのです。

そうであるならば、
あきらめずに進むしかありません。

あきらめずに進むために杖となってくれるのが
しあわせのものさし」。

今一度、自分のものさしを確認しようと思いました。

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