《書録》『反応しない練習 あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」』草薙 龍瞬

読書


『反応しない練習 あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」』は、「人の幸福と社会の改善に役立つ合理的な方法としての仏教」を伝える活動をされている著者が、あらゆる悩みを解消する“考え方”を、ブッダの教えをもとに紐解いてくれる一冊です。

生きているとだれにでも、いろいろなことが起こります。
人生は波に例えられることもありますが、
浮き沈みがあったり、
予期せぬ変化が起こったり、
凪いだ海のような穏やかな心で過ごせる日々は、
人生にどれくらいあるでしょうか。

余裕がない……
いつも不安を感じている……
なんだか落ち込んでいる……

でも、
そんなふうに揺れ動く心を、上手にあつかう方法があるのだそうです。

全ての悩みは“たった一つのこと”から始まっている。
そこさえわかれば、あとは「正しく考える」ことで、どんな悩みも必ず解決できる ──
それが、この本で著者が伝えていることです。

2500年以上前のインドでブッダが説いていた原始仏教には、宗教的な内容とはまったく異なる、実用的で、合理的な、現代にも使える「考え方」があふれています。

そんな考え方を日常に活かすための方法が、本書には書かれています。

基本情報
・タイトル :反応しない練習 あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」
・著者/編者:草薙 龍瞬(著)
・発行日  :2015年7月27日
・ページ数 :224p
・出版社  :KADOKAWA

【 読書メモ 】

◾️ 反応する前に「まず、理解する」

・すべての悩みは「心の反応」から始まっている
・反応を作り出している真の理由は “求める心”。
 まず “求める心” があり、それが “7つの欲求(生存欲、睡眠欲、食欲、性欲、怠惰欲、感楽欲、承認欲)” を生み出し、その欲求に突き動かされて人は反応する。
・「心の状態を見る」という習慣を持つことで、「ムダな反応」をおさえることが可能になる。
[心の状態を見る方法]
 ①言葉で確認する:心の状態に名札(ラベル)を貼る(ラベリング)
 ②感覚を意識する:カラダの感覚を見つめる
 ③分類する:心の状態を、⑴貪欲、⑵怒り、⑶妄想の3つに分類する

◾️ 良し悪しを「判断」しない

・人間が考える多くの判断は、実は真実でもないし、有益でもない。いわば “ヒマつぶし” 。なぜそんな判断をしているかといえば、「判断自体が気持ちいい」ことと「承認欲が満たせる」から。
[ムダな判断から自由になる方法]
 ①「あ、判断した」という気づきの言葉をいれる:シンプルに「判断に気づく」
 ②「自分は自分」と考える:「人は人。自分は自分」という明確な境界線を引く
 ③いっそのこと「素直になる」:自分はエライ、正しいという思い込みを手放す

◾️マイナスの感情で「損しない」

・「感情をめぐる悩み」は2つに分けて考える
 ①不快な感情が生まれるのを防ぐ。湧いても早めにリセット(解消)する(感情の問題 )
 →「反応しない」という前提に立つ
 ②相手とどう関わるかを考える(関わりの問題 )
 →関わり方の原理原則は、⑴相手のことを「判断」しない、⑵過去は「忘れる」、⑶相手を「新しい人」と考える、⑷「理解し合う」ことを目的とする、⑸「関わりのゴール」を見る

◾️他人の目から「自由になる」

・「他人の目が気になる」の正体は、①「認められたい」(自分の価値にこだわる)欲求がある ⇨ ②その欲求で反応して、「どう見られているのだろう」と妄想する──つまり、“承認欲が作り出す妄想” 。
・「比較」も、承認欲に始まる妄想にすぎない。「承認欲」を満たしたいなら、「正しい努力」をする。
[正しい努力の条件]
 ①認められたい気持ちをモチベーションにして、今の仕事・生活を「改善」していく
 ②どんなときも「自分のモノゴト(自分にとって必要な、役に立つ、カラダ一つでできる「作業」)に集中」する
 ③「自分で納得できる」ことを指針(基準)とする

◾️「正しく」競争する

・「競争」は社会の中に確かにあるが、競争という現実にどんな心で向き合うのかは、自分の選択。競争に乗るか降りるか、あるいは別の動機(慈・悲・喜・捨の心)で新しく生きていくか。本当の勝利──自分自身の納得──への可能性が開けるのは、その後。

◾️考える「基準」を持つ

・“最高の納得” とは、若きゴータマが求めた “善(善しと思える心境、疑問や葛藤を抜けた、すっきりと晴れた心の状態)”と、意味は重なる。「苦悩から自由になった心境」のこと。
 「納得」を人生の方向性にすえるなら、あとは時間をかけて、近づいていけばよくなる。日々の仕事や家事も、「自分が納得できること」を基準にすれば、外の世界に振り回されることは減っていく。
・心によりどころを持つこと。正しい方向性を見すえること。生きていく上で何よりも大切なのは、こうした ”道” ──生き方──を確立すること。
 もし “道” に立つことができたら、人生に “迷い” はなくなる。

人間は忘れる生き物。
 どんな感動もどんな興奮も時が経てば記憶の底に沈みゆき、その片鱗さえも見失いがちです。
 それは読書も同じこと。
 読んだ直度の高揚が、数日後にはすっかり雲散霧消 などということも。
 ですが、読みながら機微に触れた内容を整理しておけば、大切なエッセンスだけは自分の中に残る── はず。

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