『わたしはBIG! ありのままで、かんぺき』は、
著者の実体験から生まれた物語を、同じく自身も体の大きな子どもであったジェーン・スーさんが、
自身の経験ももとに力強いことばで訳した絵本です。

基本情報
・タイトル :わたしはBIG! ありのままで、かんぺき
・作者/訳者:ワシュティ・ハリソン (作)、ジェーン・スー (訳)
・発行日 :2025年2月12日
・ページ数 :62p
・出版社 :ポプラ社
「おおきい」ことは すばらしい!
おおきな えがお、
おおきな こころ、
おおきな ゆめをもち、
じゆうで
おおらかで
どくそうてき。
「おおきい」ことは すばらしい!
…… はずでした。
ですがあるとき、
女の子は気づかされたのです。
わたしはみんなと違う。
「おおきい」ことは すばらしくないんだ ──
笑顔が 消え、
心が 縮み、
夢は 失われ、
不自由で
大き過ぎで
みっともない。
放たれた言葉の矢は
女の子に容赦なくつきささり、
痛さに涙がこぼれます。
涙の海に揺蕩う無数の言葉。
その言葉をじっと見つめ ……。
おんなのこは きめました。
もっと じぶんのために いばしょを つくろう。
じぶんを あいしてみよう。
「あなたは おおきいんだから!」
それだけで、
女の子は追いつめられていきました。
なにがダメなの?
(ダメなんかじゃないよ)
どうすればいいの?
(どうにかする必要なんてないんだよ)
ほしかった言葉を
与えてくれる大人はいませんでした。
だから自分で探しました。
自分で見つけだしました。
自分を自由にしてくれる
ひかりさす出口を ──

体が大きいとか小さいとか、
そんなことは大人になれば、
大した問題ではなくなります
(いや、ルッキズムが蔓延る現代では、大人にとっても大した問題になるのでしょうか……)。
とにかく。
「みんなと違う」
ことは、
おさない心にさまざまな違和感を刻みつけます。
自分はおかしいのではないか。
自分はよくないのではないか。
自由にふるまってはいけないのではないか。
目立ってはいけないのではないか。
私はダメなんだ。
愛されないんだ。
変わらなければいけないんだ ──
いいえ。
そんなことはないはずなのです。
どんな子どもも、
どんなひとも、
変わる必要などありません。
「もっと じぶんを あいしてみよう」
女の子の勇気ある決断に、
偏狭な決めつけがとけていきます。
「ありのままでかんぺき」
だいすきなやさしいピンクのチュチュふわり。
えがおの女の子が、
おおきく かろやかに 踊っています。
人間は忘れる生き物。
どんな感動もどんな興奮も時が経てば記憶の底に沈みゆき、その片鱗さえも見失いがちです。
それは読書も同じこと。
読んだ直度の高揚が、数日後にはすっかり雲散霧消…… などということも。
ですが、読みながら機微に触れた内容を記録しておけば、大切なエッセンスだけは自分の中に残る── はず。
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