人間は忘れる生き物。
どんな感動もどんな興奮も時が経てば記憶の底に沈みゆき、その片鱗さえも見失いがちです。
それは読書も同じこと。
読んだ直度の高揚が、数日後にはすっかり雲散霧消…… などということも。
ですが、読みながら機微に触れた内容を整理しておけば、大切なエッセンスだけは自分の中に残る── はず。

『【図解】毛細血管が寿命をのばす』は、日本のみならず、ハーバード大学、パリ大学などでも研究を行っている医師・医学博士である根来秀行氏が、最新の研究報告をもとに書かれた本です。
全身の血管の99%は毛細血管だということを、ご存知でしょうか?
私は、本書を読むまで知りませんでした。
最近は血管年齢を測定する機械などもありますが、過去に一度測ってみたときに実年齢と大差なかったので、そのまま血管を意識することなく過ごしていました。
ですが本書を読んで、健康を意識するなら血管、特に毛細血管は無視できない、ということがわかりました。
本書は、健康長寿と毛細血管の関係を、豊富な図解で教えてくれます。
全身にくまなく張り巡らされている毛細血管は、すべての病気に関係しているといっても過言ではありません。
なんとなく調子が悪い、疲れがとれない、といった不定愁訴が続いている場合は、毛細血管のトラブルが潜んでいる可能性もあります。
いままで健康と毛細血管を結びつけて考えたことのない方には、一読をおすすめします。
基本情報
・タイトル :【図解】毛細血管が寿命をのばす
・著者/編者:根来 秀行(著)
・発行日 :2017年3月10日
・ページ数 :128p
・出版社 :青春出版社
【 書録 】
■ 病気も老化も毛細血管が原因
・毛細血管の細胞はさまざまな物質を分泌し、血流をよくしたり血管を守ったりしている
・毛細血管の機能が低下すると、その毛細血管が血液を届ける臓器・細胞の機能も損なわれる
→糖尿病、認知症、胃炎、生理痛、更年期障害、風邪をひきやすい、がん、肩こり、腰痛、シミ、シワ、たるみ、抜け毛、薄毛、白髪などを招く
・血管年齢と健康寿命はリンクしており、老けない人は毛細血管が若い
・毛細血管も老化するが、何歳からでも増やすことができる
■ 「毛細血管力」の高め方
・毛細血管は自律神経でコントロールされているため、自律神経のバランスを整えることが大切
・副交感神経を優位にして「ゆるめる」(拡張させる)ことが、血管の健康を保つ秘訣になる
[毛細血管トレーニング]
step1.副交感神経を優位にする(呼吸法、マインドフルネス瞑想、入浴、ストレッチなど)
step2.血管をゆるめる時間をキープ(細胞は睡眠中に修復されるため、質のよい睡眠をとるための生活習慣をつくる)
step3.血流をアップ(無酸素運動(筋トレなど)+有酸素運動(ウォーキングなど)の組み合わせが最適)
■ 毛細血管にいい習慣
・減塩(加工食品・外食を減らす、味噌汁に野菜をたくさん入れる、カリウムを多く含む食材をとる)
・血糖値の急上昇を防ぐ(GI値が低い食材から食べる:食物繊維→たんぱく質→糖質の順で)
・悪い脂肪(トランス脂肪酸)を避け、よい脂肪(EPA、DHA)をとる
・抗酸化食品をとる(ビタミンA・C・E、亜鉛、ポリフェノール、リコピン、アスタキサンチン)
・腹八分目の食事を心がける
・朝起きて、太陽の光を浴びる(体内時計がリセットされ、サーカディアンリズム(概日リズム)のずれを調節できる)
・寝る前の光に注意する(電子端末のブルーライトがメラトニンの分泌を抑える)
■ 毛細血管と関係が深く、眠っている間に傷ついた細胞を修復してくれるホルモン
・成長ホルモン:体の修復・再生を促す若返りホルモン(寝入りばなの深睡眠時が分泌のピーク)
・メラトニン:睡眠ホルモン、免疫力強化作用、抗酸化作用(太陽の光を浴びた15時間後が分泌のピーク)
・コルチゾール:適切に機能すればストレスに強くなる作用があり、通常は早朝の分泌で覚醒を促す
・プロスタグランジンD2:深い眠りで動脈硬化を予防(ノンレム睡眠時に分泌)
・DHEA:若さを保つホルモン、性ホルモンの供給、血管と筋肉を維持
・セロトニン:幸せホルモン、脳の神経細胞を活性化(太陽の光、日中の活発な活動で活性化。メラトニンの原料)