巷に溢れる健康情報に、迷ってしまうことがありませんか?
私もうろうろと迷っていた時に、健康的な生活について全般的に学ぶ機会がありました。
そこで学んだ中から、これは自分の生活に生かしていきたいな、と思った事柄を少しずつまとめています。
この記事を読まれたどなたかのお役に立てば嬉しいです。
「脳腸相関」や「腸は第二の脳」という言葉もあるように、
生物にとって重要な器官である脳と腸は密接に関わっています。
脳のストレスが腸に刺激を与えたり、腸の不調が脳に不安を与えたり、
お互いに影響を与え合っているのです。
そんな大切な腸の状態を快適にするために、
この記事では腸活でよく耳にするバイオティクスについて整理してみました。
気になる項目がある方は、目次でジャンプしてください。
腸活とは?
本題に入る前に、腸活についておさらいしておきます。
腸活とは、腸内環境を最適な状況に整えるためにおこなう活動です。
食事に気をつけたり、必要な運動をしたりすることがあげられます。
例えば、カラダのどこかに痛みがあれば常にその痛みが気になるように、
下痢や便秘で腸の状態がよくない時には腸の存在が気になるのではないでしょうか。
逆に、
腸の状態が快適な時は、腸の存在をあまり意識することはありません。
腸活で目指すのは、意識せずとも最適な状態で快適に機能してくれる腸。
そんな腸になるためのカギが、プロバイオティクスの先にある「シンバイオティクス」なのです。
腸内細菌の基礎知識
続いて、腸内細菌についての基礎知識です。
腸内細菌
人間の腸には、約1,000種類100兆個にも及ぶ腸内細菌が生息しています。
ところが、腸内細菌の9割以上はまだ未解明。
働きがわかっているものも限られています。
だから、腸内を整えるには菌を種類豊富に揃え、秘められた働きも無視しないことが大切です。
腸内フローラ
腸内フローラとは、腸内(主に大腸)のお花畑。
腸内に生息する多種多様な細菌は、種類ごとに密集して腸の壁に張り付いています。
その様子を「お花畑(フローラ)」に例え、腸内フローラと呼ばれるようになりました(正式な名称は「腸内細菌叢」)。
これらの菌は、次の3つのグループで構成されています。
・善玉菌:カラダにとってよい働きをする腸内細菌
・悪玉菌:カラダにとって悪い影響をおよぼす腸内細菌
・日和見菌:腸内の状況によって、有益・有害・無害と、どのようにも働く腸内細菌
そして、この3グループの割合は、
善玉菌:悪玉菌:日和見菌=2:1:7
が理想的だと言われています。
善玉菌が多すぎても、悪玉菌が少なすぎても腸にとっては不自然。
バランスが大切なのです。
腸管免疫
腸には、免疫細胞の約7割が存在しており、腸は体内で最大の免疫器官といわれます。
腸は、口や鼻からずっと続いており、その内側は常に外界に晒されています。
そんな外界からもたらされる病原菌などのリスクに対応するために、
腸管免疫を発達させているのです。
プロバイオティクス(probiotics)
それでは本題に入っていきます。
現在、〇〇バイオティクスと呼ばれるものは3つありますが、
まず1つ目は、プロバイオティクスです。
プロバイオティクスとは
共生を意味するプロバイオシス(probiosis、pro:共に+biosis:生きる)を語源としています。
人に有益な作用をもたらす微生物(善玉菌)を直接取り入れることで、
腸内フローラのバランスを改善し、カラダの状態を整えることを目的とします。
プロバイオティクスとして摂取した菌は腸内に定着しにくいため、できるだけ定期的に摂るようにしましょう。
代表的な善玉菌
- ビフィズス菌:整腸作用がある善玉菌の代表格。大腸に生息。
- 乳酸菌:糖から乳酸を作り出す性質を持つ菌。小腸に生息。
チーズ、ヨーグルト、日本酒などの発酵食品の製造にも使われる。 - 酪酸菌:免疫を整えたり、肥満予防効果のある短鎖脂肪酸を作り出す菌。大腸に生息。
含まれる食品
- ヨーグルト
- 味噌
- 納豆
- キムチ
- ぬか漬け
- 甘酒 など
効果
- 便秘・下痢症の改善
- 乳糖不耐症の改善
- 免疫機能改善による感染防御・アレルギー抑制
- 動脈硬化の予防効果
- 抗腫瘍作用 など
プレバイオティクス(prebiotics)
続いて、バイオティクスの2つ目は、プレバイオティクスです。
プレバイオティクスとは
プロバイオティクスのpro(共に)に対して、preは「前」を意味し、
腸内細菌のための最適な環境を整える考え方がプレバイオティクスです。
具体的には、人に有益な作用をもたらす微生物(善玉菌)のエサとなる食べ物を摂ることで、
腸内フローラを善玉菌優位な環境にすることを目的とします。
代表的な栄養素と食品
- オリゴ糖:胃や小腸で消化・吸収されにくく、そのまま大腸に届いて善玉菌のエサとなる
大豆などの豆類、ごぼう、玉ねぎ、にんにく、バナナ、はちみつなどに含まれる - 食物繊維:人の消化酵素によって消化されにくい成分の総称
- 水溶性食物繊維:水に溶けやすく、ネバネバ系とサラサラ系がある
オクラ・モロヘイヤといったネバネバした野菜や、海藻、果物、大麦などに含まれる - 不溶性食物繊維:胃や腸で水分を吸収して膨らみ、大腸の蠕動運動を促す
ごぼう・大根などの根菜類のほか、豆類、きのこ類などに含まれる
- 水溶性食物繊維:水に溶けやすく、ネバネバ系とサラサラ系がある
効果
腸内フローラの変化により、次のような効果が期待できます。
- 整腸作用(便通改善)
- 抗脂血作用、ミネラル吸収促進作用
- 大腸がん・炎症性腸疾患の予防・改善
- アレルギー抑制作用
- 腸管免疫の増強 など
シンバイオティクス(synbiotics)
最後に、腸活のカギとなる3つ目のバイオティクス、シンバイオティクスです。
シンバイオティクスのsynには、「共に」「同時に」などの意味があり、
プロバイオティクスとプレバイオティクスの両方を組み合わせて行います。
生きた善玉菌と、善玉菌のエサを同時に摂取することで、
腸内環境がより効果的に整い、健康増進に役立つと考えられています。
プロバイオティクス食品で善玉菌を腸に届け、プレバイオティクス食品で善玉菌をさらに元気にする。
そのダブルの効果で腸内環境が整いやすくなります。
下の表の、プロバイオティクス(pro)とプレバイオティクス(pre)の食べ物を組み合わせると、
シンバイオティクスが実践できます。
普段の生活に手軽に取り入れるなら、次のようなメニューはいかがでしょうか。
- はちみつや果物入りのヨーグルト(ヨーグルト pro + はちみつ・果物 pre)
- なめことわかめの味噌汁(味噌 pro +わかめ・なめこ pre)
- キムチ冷奴(キムチ pro +豆腐 pre)
プロバイオティクス(pro) | プレバイオティクス(pre) | |
意 味 | 微生物(善玉菌)を直接取り入れることで 腸内フローラのバランスを改善する 腸内に定着しにくく、定期的な摂取が必要 |
微生物(善玉菌)のエサとなる食べ物を 摂ることで、 腸内フローラを善玉菌優位な環境にする |
善玉菌 栄養素 |
ビフィズス菌、乳酸菌、酪酸菌など | オリゴ糖、食物繊維など |
食べ物 | ヨーグルト、味噌、納豆、キムチ、 ぬか漬け、甘酒など |
野菜、果物、豆類、きのこ類、 海藻類、大麦、はちみつなど |
効 果 | 便秘・下痢症の改善 乳糖不耐症の改善 免疫機能改善による感染防御やアレルギー抑制 動脈硬化の予防効果 抗腫瘍作用 など |
整腸作用(便通改善) 抗脂血作用 ミネラル吸収促進作用 大腸がん・炎症性腸疾患の予防・改善 アレルギー抑制作用 腸管免疫の増強 など |
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は腸活、そして3つのバイオティクスについてみてきました。
私たちの腸内には、個々人に適した細菌が定着し、
日々、私たちの腸内でさまざまな活動をしています。
私たちが口にする食べ物は、
人間だけが利用していると考えがちですが、
腸内細菌の食べ物でもあると考えられるのです。
腸内細菌にエサをあげるつもりで食べる物を考えるのも、楽しいですね。
今回解説したプロバイオティクスとプレバイオティクス。
単独で取り入れても腸内環境の改善に役立ちますが、
どちらも取り入れたシンバイオティクスならもっと効果的。
腸内フローラをバランスよく整えて、カラダと心を軽やかにしていきましょう。
参考:公益財団法人 腸内細菌学会 https://bifidus-fund.jp/index.shtml